d_772889 みんなの女王でなくなった夜 ー紫の女王を、僕だけのものにー

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紫のドレスを揺らしながら、
女王は静かに玉座に座っていた。

誰にも媚びない。

誰にも従わない。

その視線ひとつで、空気が変わる。

最初は、ただ見惚れていただけだった。

近づける存在じゃない。

そう思っていたはずなのに――
気づけば僕は、
毎晩のように彼女の元へ足を運んでいた。

「また来たの?」
紫髪を指先でかき上げながら、女王は小さく笑う。

「本当に変わった人。」
見下ろすような視線。

けれど、その瞳はどこか優しい。

「普通の人なら、怖がって逃げるのに。」
静かな部屋。

重たいカーテン。

揺れる灯り。

彼女はゆっくり脚を組み直し、こちらを見つめる。

「ねぇ。」
「どうして、そんなに私を見つめるの?」
答えられないまま立ち尽くしていると、
女王はふっと微笑む。

「…困った人。」
その笑顔は、誰にでも向けるものじゃなかった。

「あなたの前だと、少し調子が狂うの。」
高圧的なはずなのに、
どこか寂しそうな声。

「みんな、‘女王様’を見ている。」
「でもあなたは…私を見ようとする。」
ゆっくりと玉座から立ち上がり、
彼女は静かに近づいてくる。

「そんな人、初めて。」
近すぎる距離。

紫の瞳が、真っ直ぐこちらを見つめる。

「だから今夜は――」
「女王じゃなく、一人の女としてここにいてもいい?」
誰にも見せない表情。

誰にも許さない距離。

その夜、女王は確かに、
僕だけに微笑んでいた。
もっど見せる

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